症状と治療のお話し : コロナ後遺症の鍼灸治療 

まず最初にこちらをお読みください。

コロナ後遺症の治療を2020年末からやっています。コロナが治って感染力がなくなったことがはっきりしている患者さんの治療です。発熱している方の治療はお断りしています。
2022年1月 掲載 7月追加

経験からいうと倦怠(けんたい)感、ブレインフォグ(脳の霧)と呼ばれる思考力の低下などに鍼灸はよく効きます。うつ病の治療を応用して治療しています。
味覚障害は1~2回で改善します。嗅覚障害もすぐに改善しますが、味覚障害よりは時間がかかります。コロナ以外の味覚障害、嗅覚障害はいったんよくなったらそのまま安定していることが多いのですが、コロナでは波があります。脳の状態が関係しているためではないかと考えています。

30代の女性のコロナ後遺症の抜け毛が治りました。朝 起きられない、睡眠相後退症候群もついでに。

コロナ後遺症の30代女性が来院されました。コロナ感染後 約半年たっています。じつはお母さんのコロナ後遺症が結(ゆい)で治ったので、娘さんを連れてこられたのです。

 嗅覚障害があります。便のにおいがわかったり わからなかったりする状態でした。コロナの嗅覚障害で最後まで残るのは便のにおいがわからないという症状です。「ある日突然、トイレでうんちの臭いが全くしなくなったらぜひPCR検査を受けてください。」という記述がある小児科のHPにありましたが、同感します。嗅覚障害の治療では「便の匂いが」するかどうかを必ず聞きます。便の匂いがしたら喜び合います。

味覚障害は「だしのうまみがわかりにくい」というものでした。「だしのうまみ」は繊細な味覚ですから、味覚障害の中でも最後の方で治る症状です。

 ただ患者さん本人が一番 気にしていたのは「抜け毛」でした。

2回治療すると味覚障害、嗅覚障害がなくなりました。「抜け毛」も減ってきました。「抜け毛」といっても高齢者の頭が薄くなるのとはまったく違います。現代医学ではコロナ後遺症の抜け毛は原因不明でまだ定説はありませんが、私は伝統的中医学でいう虚熱(きょねつ)ではないかと考え治療しています。身体のバランス(陰陽)が崩れ、頭の上の方が熱をもつ状態です。熱といっても体温上昇とは違います。例えばニキビも熱の一種と考えます。

虚熱(きょねつ)は鍼でわりと簡単にとれます。

 味覚障害、嗅覚障害がなくなり「抜け毛」も減ってきたので、今度は夜に眠れず、朝はおきれないという症状、睡眠相後退症候群の治療に移行しました。「抜け毛」は虚熱ですが、熱をさますには陰陽の「陰」、身体を落ち着かせる陰が必要で、陰は十分で良質な睡眠で養われます。虚熱の「抜け毛」の再発を防ぐためにもぐっすり眠ることが大切です。

 患者さんは8年ほど睡眠薬を使われていました。2カ月 11回の治療で睡眠薬なしで眠れるようになり、朝 起床できるようになりました。それまでは昼頃に起きていらっしゃいました。朝 起きられないので外に働きに出ることはできず、昼頃 起きて家業を2~3時間手伝う暮らしです。少し家業を手伝うとすぐに疲れる状態でしたが、それがコロナ感染後にさらにひどくなっていました。よく眠れて普通に朝に目が覚める生活になると、少々 働いても疲れなくなりました。もともと花粉症をお持ちでしたが、花粉症が発症する時期になっても発症しませんでした。約3か月間に17回治療して終わりました。2023年4月掲載

ブレインフォッグ(新型コロナ後遺症)の女性 職場復帰できましたが。

30代の女性が○月に来院されました。新型コロナ感染後からめまいが続きます。感染した後に仕事を再開、めまいを我慢して猛烈に働きました。約3か月後から頭に霧がかかったような状態、ブレインフォッグになりました。どんどん悪化しブレインフォッグ発症から2カ月間は立ち上がることもできず寝たきり状態でした。何も考えられなくなりました。職場に通えなくなり休職しました。
最初に結(ゆい)に来院された時は、休職中で疲れると言葉が出づらくなる状態でした。話し始めは普通に話せているのが、だんだんとゆっくりになって言葉が途切れます。うつ病や脳血管障害の患者さんで はっきり喋れない患者さんにお会いしたことは何度もありますが、全然 違いました。

結(ゆい)に来院時は慢性上咽頭炎を治すため耳鼻科でBスポット療法、EAT(上咽頭擦過療法)もされていました。Bスポット療法を1回やると3~4日はすっとする効果があったのですが、効果が感じられなくなり耳鼻科の医師と相談の上で中断することになりました。コロナ後遺症のオンライン外来にもかかっていらっしゃいます。

 新型コロナ感染後5カ月で寝たきりからなんとか起きられるようになり鍼灸治療を開始。2カ月15回治療して、コロナ感染後7カ月で再度 職場復帰できました。コロナ感染以前のような働き方ではなく、休みながら働かれています。言葉がだんだんとゆっくりになって話せなくなる症状はなくなりました。鍼灸治療してからは、疲れやすい、身体がだるいは少し改善しましたが まだコロナ感染前の状態にはなっていません。治療を続けています。めまいも改善はしましたがなくなってはいません。

 新型コロナは やはりかからない方がいいです。そして感染してしまった後はゆっくり養生してください。感染して仕事を休んだ後、遅れをとりもどそうと猛烈に仕事をして後遺症が出てきたという患者さんを何人もみています。たんなる疲れではありません。感染力はなくなっているけれどコロナウイルスが身体のどこかに潜んでいて、身体が弱った時に再度 活性化して炎症をおこしているのではないかという論文もあります。鍼灸は炎症によく効きます。2023年4月掲載

 

40代の看護師さんのコロナ後遺症の治り方

職場の病院のクラスターで感染しました。2週間 コロナに苦しみ体重も一時は7キロ減りましたが、現在は戻っています。職場復帰しています。発症後約1カ月で来院されました。
味覚嗅覚障害、聴覚障害が残っていました。からい、すっぱいはわかるがうまみがわからない。嗅覚はほとんどありません。職場で世話する患者さんの汚物のにおいがわからないそうです。

聴力も片方の耳の低音が低下、125ヘルツが約40デシベルです。耳鳴りもあります。ほかは10から20デシベルで正常です。
約一か月半に7回治療しました。味覚は以前を10とすると7~8。嗅覚は以前を10とすると7 ただ安定していません。耳の不快感や耳鳴りはなくなりました。3か月後には味覚も臭覚も感染以前に戻りました。聴力も回復しました。ただミーティングで多数が話をすると、聞き取りづらい時もあるそうです。

50代の女性がすぐに元気になりました。

50代の女性が首の後ろがだるいと来院されました。2か月前に新型コロナ感染症にかかりました。40度の高熱が4日間 続き、咳に苦しみました。
治ったものの鼻の奥が乾き、においがわからなくなりました。味覚はあります。抜け毛が増え 目が疲れます。のども腫れた感じがします。コロナは治りましたが、後遺症が残りました。
コロナ感染前は後頭部がだるいといったことはありませんでした。元気自慢だった女性が、コロナ感染後は雨がふると身体がしんどいといった状態になりました。

この女性は一度で劇的によくなりました。治療の翌日には外出する意欲が出て、7時間も出歩かれたそうです。約一か月間に5回 治療し諸症状がすべてなくなり治療を終わりました。においが戻り、抜け毛もなくなりました。

コロナ後遺症の咳喘息が治りました

トラック運転手の男性が2年ぶりに2022年3月に来院されました。
コロナ対策で全国を転々とされていました。患者配送 ワクチン配送等 患者の急増した地域へ派遣されていたそうです。
コロナ感染は のどの痛みからはじまりました。38度の熱が4日間続きました。自宅療養でした。保健所へ4時間、電話し続けてやっとつながりましたが、「ひどくなったら救急車をよんでください」の一言だったそうです。

治って感染力もなくなってから病院に行き肺炎のあったことがわかりました。「死ななくてよかったですね」「本当にそうです」と会話しました。
コロナは治り感染しなくなったのですが、身体がだるく、夜になると咳が続きます。空咳で咳喘息の症状です。味覚障害も残っています。一度 治療したところ倦怠感はなくなりました。甘みもわかるようになりました。3週間に6回の治療をして完治しました。2022年7月掲載

約一か月半で治った耳詰まり鼻づまりと気分の落ち込み コロナ後遺症の鍼灸治療

30代の日本人男性が3月に来院されました。2022年1月初めに左耳がふさがり、つまる感じがしてきました。聴力の低下はないのですが、気分が落ち込み何をする気にもなれないそうです。
2021年12月末にコロナに感染しています。アメリカでコロナにかかりました。カリフォルニア州在住の方です。鼻水やのどの痛みが続き、ようやく楽になってきたと思ったら1月に耳がおかしくなりました。体調不良のため日本に一時帰国されました。耳だけでなく鼻詰まりも続いています。本人にコロナ後遺症の自覚はなかったのですが、経過から見るとコロナ後遺症といえます。

2週間に7回治療すると ほぼ耳も鼻も気にならなくなり、気分の落ち込みもなくなりました。
じつは雨が降って寒くなったときに、ちょっとだけ症状がぶり返すこともあったのですが、本人の強い意向もあり、一か月半後にアメリカに向けて出国されました。雨が降っても気分の落ち込みの再発はありませんでした。
カリフォルニアは1年を通じて温暖で湿度も低く、暮らしやすいところと聞いています。「ロンドンに行くというならもう少し治療してから出国した方がいいと言うけれど、カリフォルニアは気候がいいから大丈夫でしょう。」と送り出しました。

なぜ雨の日は耳の調子が悪くなるのでしょう。中医学では湿邪により気が滞るためといわれています。実際 鍼灸治療で湿邪をとり気の巡りをよくすると雨の日でも大丈夫になっていきます。耳の症状としては、詰まった感じに加えて、めまいやふらつきが起こる人もいますがこれも治ります。
気象病と呼ばれることもあります。気象病は、太古の昔に危険を回避するためにできた予知機能だという仮説があります。狩りの最中に嵐が来たら、生命の危機です。そこで天候の悪化をいち早く察知する気圧センサーが作られたというのです。
その「逃避行動仮説」によると、人間は皮膚で気圧の変化を感じ取ると、すぐ走って逃げられるように交感神経が緊張する。それにより耳周辺の筋肉が収縮し、耳が詰まったような感じがするのでは、といわれています。
じつは耳詰まりを訴える患者さんの多くはリラックスするのが下手な人が多いので、「逃避行動仮説」は納得できます。2022年7月掲載

コロナ後遺症の50代女性 味覚障害聴覚障害の治り方、3週間後に突発性難聴も

50代の女性がコロナの濃厚接触者になりました。検査したところコロナ陽性が判明しました。発熱はなかったのですが、検査の3日前、腰とふくらはぎが半日だけ痛みました。 検査の3日後から味覚障害と嗅覚障害がでてきました。3週間後に左耳がおかしくなり、耳鼻科で突発性難聴と診断されました。結(ゆい)には約7週間後に来院されました。 音が2重に聞こえるのがつらいという訴えでした。味覚障害は残り「うまみ」がわかりません。匂いも健康な時を10とすれば2程度でした。

3回 治療したところ とうふの味がわかるようになりました。嗅覚も改善しました。自宅の独特の匂いがわかるようになりました。音が2重に聞こえるのもなくなりました。
途中で音が再度 2重に聞こえることもあったのですが、すぐによくなり、結局 一か月に7回治療し、音もはっきり鮮明に聞こえるようになり治療を終わりました。

治療後のアンケートでは
「非常に良い効果があった、ほとんど完全に治り苦痛がない」を選択いただきました。治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は0であるとされました。
◆コメント
鍼灸は初めてだったので、当初は不安でしたが予想以上に早く効果が出たことをうれしく感じています。また調子が悪くなった時はお世話になりたいと思います。
※自筆のコメントは以下からどうぞ
http://yuisuita.sblo.jp/archives/20220626-1.html

厚労省が4月に出した「新型コロナ感染症の診療の手引き、罹患後症状のマネジメント」には耳疾患が取り上げられていませんが、結(ゆい)にはコロナが治ったと思ったら耳がおかしくなったという患者さんが多数みえられています。2022年7月掲載

コロナ感染後に突発性難聴になった40代女性、一か月で治りました

二か月半前にコロナにかかり、やっと治ったかなと思ったら、突発性難聴になってしまいました。
コロナにかかってから咳が一か月以上続き、悪寒 下痢 頭痛に苦しみました。二か月後に突然 左耳が聞こえなくなり突発性難聴と診断されました。ステロイド点滴を1週間したところ聴力は70~80デシベルから40~50デシベルまで回復したのですが耳鳴りがあり高い音は響き音が割れます。テレビの音も大きいと苦痛なので字幕で見ているそうです。職場は歯科医さんなので、独特の機械音が苦痛です。耳栓をして勤務されています。
4回ほど治療すると、聴力は25デシベルまで回復しました。音が割れたり、聞こえが悪いのもなくなりました。テレビも音を出して見れるようになりました。ただ職場の機械音が苦痛というのは続きます。
約一か月 8回 治療すると職場の機械音も大丈夫になり、雨の日に調子が悪くなるのもなくなり、卒業していただきました。

◆コメント
非常によい効果があった。ほとんど完全に治り苦痛がない。
総合的にいって治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は0である。

3割しか完治しないといわれる突発性難聴になり、病院でのステロイド点滴治療で聴力は上がったが耳鳴りや音割れはあまり改善されず日常生活の音さえも苦痛でつらい毎日でしたが、こちらに通いだしてから徐々に音割れが改善され 好きな音楽やテレビが楽しめるようになりました。
歯医者に勤務していたため 独特の機械音が頭に響いて頭痛がしていたが耳栓なしでも働けるようになりました。
今では完治が難しいと言われる程 重症だったのにほとんど元通りになりとても嬉しいです。仕事のグチもたくさん聞いていただきスッキリしました。本当に感謝しています。ありがとうございました。また何かあればよろしくお願い致します。2022年7月掲載
自筆のコメントは以下からご覧ください。
http://yuisuita.sblo.jp/archives/20220708-1.html

40代女性のコロナ後遺症 背中の痛みと倦怠感が続きました

つらい時は結(ゆい)に来てくださる40代女性がコロナに感染されました。コロナに感染したからとキャンセルの電話があって約40日後に来院されました。
のどの痛みから始まり 37度の発熱 関節痛 倦怠感 頭痛が一週間続きました。一人で自宅療養されていたのですが、大阪市からの食糧支援が何もなく友人の差し入れで食べていたそうです。兵庫県尼崎市に住む同僚もコロナにかかったのですが、こちらはすぐに食糧支援が尼崎市から届いたそうです。
出勤した後も息苦しく、背中が痛みます。のども痛みます。倦怠感もずっと続いています。電話で長く話すと声がかすれてくるとのこと。大きな声は出せません。
一度 治療すると「声は出しやすくなった」となりました。
週一で3回ほど治療すると、背中の痛み、のどの痛みはなくなり、倦怠感もなくなりました。

もともとハードワークをこなしていた方です。元気になると 今まで控えていた残業や出張もするようになりました。コロナ後遺症の倦怠感は消えたのですが、自宅に戻るのが夜の12時前という働き方が続いているので、週末の疲労感は出てきます。平日はバリバリ働き、週末は ぐったり疲れて結(ゆい)にいらっしゃるといういつもの日常が戻っています。
背中の痛みが続くというコロナ後遺症もあります。痛みをとるのは鍼灸の得意分野です。疲労回復も得意分野です。2022年7月掲載

歌えるようになった女性歌手 コロナ後遺症

20代の女性が来院されました。1カ月前コロナ感染し、その後、声が出しづらくなりました。嗄声、しゃがれ声になったそうです。話し声は普通になったが歌う声は出しづらい、とくに高音の伸びが悪いというのです。女性の歌をYouTubeで聞いてみましたが高音をよく使う歌が多いようでした。長く歌うとかすれてきます。以前からの鼻炎もコロナで悪化しています。たまに咳もでます。のど周囲の経気をめぐらせ、気滞をとりました。気持ちを落ち着かせ、緊張を緩和することも意識しました。声が思うように出ない焦りが、のど周囲の気滞、筋肉の無意識のこわばりを生んでいます。過緊張性発声障害の要素もあります。女性は手足の冷えを訴える人です。気滞からの冷えです。交感神経優位のタイプです。女性は歌うだけでなく曲もつくります。仕事はきっちりやるタイプです。約2週間に3回治療したところ、2日間のライブがこなせるようになりました。コロナ前の声にもどったばかりか、緊張なく歌えたといいます。いつもは緊張から最初は声がのびず、ぎこちなくなることが多かったそうです。声はコロナ以前にもどりましたが、よりのびやかに歌い続けるために時々治療させていただいています。
※患者さんのプライバシー保護のために状況を少しだけ変えていることもあります。
2022年12月掲載

40代 上咽頭の炎症? 眉の間の痛みと立ちくらみ コロナの後で

40代の女性が夏にコロナに感染しました。のどの痛み、節々の痛み「これまで経験したことのない のどの痛み」で眠れませんでした。「先生コロナにはかからない方がいいよ。」と何度もおっしゃっていました。感染から一か月後に来院されました。感染4日目にのどの痛みがなくなると今度は咳と鼻水です。嗅覚障害も出ました。諸症状がなくなった後に、印堂(いんどう、ツボの名前)、眉の間、鼻の上の痛みと立ちくらみ、嗅覚障害が残りました。首肩もこります。以前 メニエール病の診断を受けていましたが当院の鍼灸治療で症状はなくなっています。西医的には上咽頭の炎症です。督脈という経絡(けいらく)の陽気を強め 印堂付近の気の滞りを一気に解消するやり方で施術しました。その場で痛みがなくなり鼻で呼吸ができました。

一週間後の来院時に印堂の痛みと立ちくらみ、嗅覚障害がなくなっていることを確認しました。コロナの後のさまざまな症状には鍼灸が効きます。
※患者さんのプライバシー保護のために状況を少しだけ変えていることもあります。
2022年12月掲載

顔面麻痺が治りました 30代女性 コロナ後遺症

22年の夏にいらっしゃいました。一か月前にコロナにかかり発熱は38度程度でした。10日間倦怠感に苦しみました。現在も痰は残りますが咳はありません。今は仕事を休んでいるが後1週間で仕事に復帰するというので 焦っていらっしゃいました。4年前に右耳突発性難聴になっていたのが、再度悪化しました。女性の高い声が聴きにくい。外で話されると聞き取りにくいという症状です。食欲も落ちています。右の顔面神経麻痺にコロナの後になりました。右の眼瞼が動きにくい。閉じにくい。口から水がこぼれる。首肩がこり、腰も痛いといった状態です。

3週間に4回治療したところ、目が閉じやすくなり、口から水がこぼれるのもなくなりました。顔面麻痺はほぼ治りました。2割以上に後遺症が残るといわれています。顔面神経麻痺は早期治療が大切です。鼻水がのどに落ちるという後鼻漏(こうびろう)の症状もあったのですがこれもなくなりました。オミクロンは肺まではなかなか行きませんが、のどや上咽頭でひどい炎症をおこします。上咽頭の炎症が後鼻漏に関係していると思われます。鍼灸は上咽頭の炎症によく効きます。じつはBスポット療法=EAT(上咽頭擦過療法)で少しよくなったけどもう少しよくしたい、またはBスポット療法の効きがよくなかったという理由で当院に来院される患者さんも結構いらっしゃいます。

首肩がこり、腰も痛いのも治ったためその後、数回治療して終わりました。耳の違和感はまだ少し残っていましたが、以前より聴きやすくなりました。仕事と子育てで通院が難しくなったとのことでした。食欲も回復し元気に働かれています。
※患者さんのプライバシー保護のために状況を少しだけ変えていることもあります。
2022年12月掲載