突然、声が出ない 1回で治りました。心因性失声症のお話

金田さん(仮名)は40代後半の男性、別件で治療したことのある方です。じつはお連れ合いが医療関係者です。

今朝、突然 声が出なくなったとの事で総合病院の診療を受けたその足で、結(ゆい)にいらっしゃいました。お連れ合いの勧めもあったようです。声が全く出ないために、お連れ合いが代わりに事情を話してくださいました。
MRIでも異常なく、脳血管障害の症状もない、ストレスから声が出なくなったのではないかということで、「心療内科を紹介しましょうか」と言われたそうです。

軽い吐き気が数日 続き、身体がいつもより熱く感じていたが、声の出なくなる前日は吐き気も消えていた。ちょっと調子がもどったかなと思ったが、朝 起きたら声が出なくなっていた。という状態です。

総合病院では異常なしという診断だったようですが「異常はあります」と申し上げました。

「現代医学の今の診断技術では異常を発見できないだけです、将来は発見できるようになるかもしれません。私にも現代医学的にどこに異常があるかどうかはわかりません。でも伝統的中医学の見方では、気がつまっています。胸で詰まっている時は息苦しかったのが上に上がってのどで詰まってしまった。だから声が出ないのです。だから吐き気の消えた翌日に声が出なくなってしまったのです。もちろんストレスは身体をこんな状態にした遠因です。身体も疲れています。でものどの詰まりがとれれば、声は出ます。」と言って治療を開始しました。伝統的中医学では痰風内動(たんぷうないどう)という状態です。

☆ストンとつかえがとれたように声がもどる

まず上に上がってしまった気の流れが下に流れるようにする鍼治療をしました。しばらく鍼をしたまま横になってもらい、「どうですか」と質問するとかすれながらも声が出ました。ろれつが回らないので、それを治すつぼに鍼をすると話しやすくなりました。

意味なくしゃべるのもつらいので、新聞を朗読してもらいました。だんだんと声のかすれがとれてきます。ころあいを見計らって失声の特効穴に鍼をすると、ストンとつかえがとれたように声帯が機能しはじめ、普通の声が出ました。
その後 2回ほど再発防止の鍼をして治療を終了しました。身体がみょうに熱く、だるいのも治りました。

2回目の治療終了後にアンケートをいただきました。

◆アンケートでは「非常によい効果があった。ほとんど完全になおり苦痛がない。」「治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は【2】である」との評価をいただき以下のコメントをいただきました。

◆コメント

声が出なくなった時は本当にあせりました。耳鼻科も行きましたが異常なし、そこで妻のすすめもあり先生に診てもらったところ、ちゃんと出るようになりました。
先生の説明も明確で安心しました。
今回は早く対処したこともあり早く治りました。何か異変を感じたら早めに診てもらうことが大切なのだと実感しました。
2014年12月

パニック発作の後の動悸が3回でなくなりました

栗原(仮名)さんは40代後半の女性です。家族、親戚でお店をやってらっしゃいます。大阪に多い家族経営の老舗です。元気のいい方で、テンポよく早口で話すサバサバした感じの方です。
 
20XX年の10月終わりに来院されました。いっしょに働いている親戚のAさん(女性)と話をすると動悸がしたり頭が痛くなったりするというのです。夏ごろからおかしくなり、そのうち熟睡できなくなり、朝からぼーとして眠いとのこと。夏の疲労と過労が動悸を誘ったのでしょう。
じつは2年前、Aさんと大喧嘩をして、その後でパニック発作をおこしていらっしゃいました。その後もしばらく動悸等が続いたのですがいつのまにか治っていました。今回はいつまでも治らず、夜も眠りにくくなったということで来院されました。抑うつ状態一歩手前というあたりでしょうか。
さっそく鍼灸治療を開始、1回の治療で寝つきがよくなり、3回2週間でほぼ動悸や気分の悪さもなくなり、4回3週間で終了しました。Aさんとの仲の悪さは同様ですが、互角に渡り合えるようになったとのこと。どなり返せるようになり、仲良く口喧嘩されているようです。
 
本格的に暑くなった今頃が不調になりやすい時期です。調子が悪くなったら栗原さんのように10月まで我慢することなく早めに来院ください。
 
◆アンケートには「非常によい効果があった。ほとんど完全に治り苦痛がない。」「治療前の苦痛を10とすれば今は0」と回答いただきました。
 
◆コメント
決まった人と話すとき必ずひどい動悸があったのがほとんどなくなった。ゆっくり熟睡ができず、朝起きたときからボーと眠たさがあったのもなくなり寝つきもよくなった。
 
パニック発作というと何か「線の細い、弱弱しい人」がなるというイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。どんな人でもなります。たいていは過労、疲労が引き金になります。本格的な猛暑に入った今、お気をつけください。
 
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

湿疹と不眠がつながっている? 気分障害または概日リズム睡眠障害、睡眠相後退症候群(DSPS)?

島田(仮名)さんは30代初めの青年です。数年前は全般性不安障害、パニック障害と診断され当院に治療に来られていました。当時の鍼灸治療の一番の目的は不安で乗れない新幹線に乗れるようになることで、それはうまくいき治療は終了しました。
 

今回は4ヶ月前から夜、眠れず、昼間 起きていられないという症状がひどくなったと来院されました。睡眠導入剤も効きません。昼間起きているよう努力はするのですが、たまらず寝ることもよくあるようです。こま切れの質の悪い睡眠の典型です。
2ヶ月前からは身体中に湿疹が出るようになり、夜はかゆみがひどくなりよけいに眠れない。概日リズム睡眠障害、睡眠相後退症候群(DSPS)ともみえるような症状ですが、この場合は気分障害からくるものなのでしょう。島田さんは今回は気分障害と診断されているようです。気分障害とはうつ病や双極性障害を含む広い概念です。
数年前のような不安感はなくなったとのことですが、抗うつ剤は飲み続けていて、疲れやすさ、手足のしびれ感の訴えもあります。

1ヶ月に5回治療したところ、夜はすぐに眠れるようになり、昼は起きていられるようになりました。2回ほど治療したところでかゆみが引き始め、3週間後には湿疹はきれいに消えました。眠れなくなると、だんだんと身体を落ち着かせる陰(いん)という成分が減少し、皮膚のかゆみになり、やがて湿疹になることがあります。こういう時、伝統的中医学では睡眠と湿疹を一連のものと考えて治療します。みなさんも睡眠時間が極端に少なかった時、妙に興奮した経験はありませんか。身体を落ち着かせる陰(いん)が減っているからです。
 

◆アンケートでは「非常によい効果があった、ほとんど完全になおり苦痛がない」を選択。以下のようなコメントをいただきました。
 

当初の気分障害での体のだるさ、日中起きていられない、夜の睡眠障害、体全体の湿疹に悩まされてきました。2回ほどの治療で夜もぐっすり寝つけるようになり、4ヶ月間毎日飲んでいた睡眠導入剤も全くいらなくなりました。それに伴って約一週間ほどで湿疹もほとんどひいていきました。同じく体のだるさも、一週間ほどでかなりなくなり、昼からも動けるようになりました。コメント以上

「全般性不安障害(GAD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)が疑われた患者さんの治療 PMSも」の吉本(仮名)さんの数ヵ月後の様子を知るためにアンケート出していたのが返ってきました。
 

☆数ヵ月後も元気でした!PMSで全般性不安障害(GAD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)が疑われた患者さんのその後
 

結(ゆい)を卒業された後も、吉本さんは順調です。
吉本さんは、右下の歯茎に麻酔したところ、翌日朝から右側に違和感が出現、右半身全体に違和感がでるようになったとのことで来院されました。不安感がつよく、理由のない不安感におそわれた時は過去の怖いこともいっしょに思い出すそうです。胸がしめつけられるようになることもよくあります。しゃべりながら涙を流し話がよくとんでいましたが、2ヶ月弱の治療で卒業されました。

全般性不安障害(GAD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)が疑われた患者さんの治療 PMSも

中医学では頭がふらふらし気が小さく驚きやすく不眠となり、ため息ばかり出るような状態、物事についてさんざん考え思いをめぐらしても決断のつかない状態や不安にさいなまれる状態を胆虚(たんきょ)と診断し治療しています。
 

吉本(仮名)さんは20代の女性です。4ヶ月前、右下の歯茎に麻酔したところ、翌日朝から右側に違和感が出現、右半身全体に違和感がでるようになったとのことで来院されました。漢方薬は処方されていましたが、なかなか効かないそうです。不安感がつよく、理由のない不安感におそわれた時は過去の怖いこともいっしょに思い出すそうです。胸がしめつけられるようになることもよくあります。しゃべりながら涙を流し話がよくとびます。

3週間6回ほど治療したところ、不安感は消え情緒も落ち着きました。仕事にも集中できるようになりました。この段階でアンケートをいただきました。
 

◆アンケート回答
よい効果があった。少し苦痛はあるがずいぶん楽になった。治療前の苦痛を10とすれば今は3である。

◆コメント
右半身の硬さは少し残りますが、何もないことに涙がでたり、怖いことを思い出すのが減り、情緒が安定してきてうれしいです。情緒が不安定なのは自分の努力や考え方の問題のように思っていましたが、間違ってカイロがつながってしまった状態と言われ初めての治療の次の日、意味のわからない不安や右のモヤモヤがとれておどろきました。ありがとうございます。
 

※「間違ってカイロがつながってしまった状態」というのは「不安でもないことに不安を感じてしまうのは、脳の中である刺激、情報がまちがって伝わってしまう状態になっています。いわばバグです。鍼灸は脳のバグを修正できます」と説明したことをさしています(藤井)
 

その後、1ヶ月治療して右半身の違和感もなくなり仕事にも集中できるようになり、不安感も全然 感じなくなり卒業していかれました。もともと月経前症候群(PMS)のある方でしたが、こちらの症状もでなくなっていました。

吉本(仮名)さんは幼い頃から集中できず、考えがコロコロ変わる状態だったそうで、注意欠陥多動性障害(ADHD)を疑われたといいます。
今回は全般性不安障害(GAD)のような状態でした。これは胆虚(たんきょ)です。
何事にも自信のもてない方でしたが、仕事のやり方を少し助言したところ、助言どおり素直にやってくださり仕事がうまくいきました。「うまくいきました!」と嬉しそうに報告してくださいました。いっぱいいっぱいほめました。
 

※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

ポコポコいう耳鳴と耳の違和感や不安感がセットの女性

2014年1月16日掲載
陣内(仮名)さんは30代後半の女性、20XX年の10月にいらっしゃいました。右耳が疲れるとポコポコいうそうです。首もこります。なんだか気持ちが落ち着かず、ちょっとしたことで不安になります。疲れやすく、夜も眠りが浅いそうです。
陣内さんは幼稚園児のお子さんがいらっしゃいます。やんちゃでどうしたらいいかわからないそうです。子育てで悩んでいらっしゃいました。

2回治療したら、首のこりもとれ、よく眠れるようになりました。耳鳴や耳の違和感もなくなりました。子育ての悩みは続くけれど、妙な不安感がなくなったようでした。
手足が冷たかったのですが、手の冷えはとれました。
この段階でアンケートをいただきました。

◆アンケート回答

よい効果があった。少し苦痛はあるがずいぶん楽になった。
総合的にいって治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は3である。


☆陣内さんのコメント
治療に来させていただくのが楽しみです。張り詰める感じがとても少なくなってきました。今後ともよろしくお願いします。

陣内さんはその後も治療を続け、ずいぶん元気になりました。3ヵ月後も耳鳴や不安感の再発のないことを確認しています。ただ子育ての悩みは続くようです。 

月経前症候群(PMS)が治った。抗うつ剤(SSRI)もやめた。

田丸(仮名)さんは20代後半の女性です。長く月経前症候群(PMS)に苦しまれていました。月経前10日~7日前から気分が落ち込み、身体がだるくなります。ピルを飲んだこともありますがうまくいきませんでした。体調を崩して職場をやめた時に心療内科に通い始め、抗うつ剤(SSRI)パキシルを飲み始めて3年になります。アルバイトに半年前から行き始め本人いわく「なんとか続いている」状態です。
本人の希望もあり月経前10日の間に2回ほど治療することにしました。2ヶ月すると月経前の気持ちの落ち込みもなく生理痛もほとんどなくなりました。パキシルをやめたいという本人の希望で週に1回治療するように変更。1ヶ月かけて薬を減らし、ついに薬をやめることに成功。さらに1ヶ月治療してから、アンケートを書いてもらいました。治療を始めて2ヶ月で月経前症候群(PMS)が治り、3ヶ月目には抗うつ剤(SSRI)をやめることができました。
田丸さんは以下のように回答されました。
◎非常によい効果があった、ほとんど完全に治り苦痛がない。
◎治療前の苦痛を10とすれば今は1である。

ひどい時は2週間前から気持ちが不安定になり、だるくて何もしたくない気持ちになっていたのですが、治療していただき不安定になっても1~2日で済むようになりました。すこしずつ体のだるさが軽減されていき気分に体調がひっぱられないようになっていきました。肩こりもかなり減りました。その中で以前はいろいろなことに落ち込みがちだったのを「過ぎたことは過ぎたこと、今は今」と頭をきりかえていけるのも早くなりました。薬であまり考えないようにしていたのですが、今は薬を飲まず、考えても落ち込まず、冷静に落ち着ける時間が増えた気がします。仕事も抱えすぎずしんどくならないようにこなせるようになりました。本当にありがとうございました。

以上

田丸さんはたんなる月経前症候群(PMS)だけでなく抑うつ状態にあったようです。心療内科では簡単に薬がでますが、私はちょっと疑問に思っています。日本うつ病学会が今年7月にうつ病の治療指針を出し安易な抗うつ剤の使用をいましめています。

激務のサラリーマンのパニック障害が治った

桑原(仮名)さんは40代前半の働き盛り、終電で帰宅する毎日です。めまいと動悸、不安感に苦しんでいらっしゃいました。5年前に突然めまいがして、動悸もひどくなり救急車で病院に。精密検査しても身体に異常はなく、メニエール病の疑いがあるということで耳鼻科に1年間通いましたが、一向によくなりません。今度は心療内科でSSRI等の抗うつ剤を処方されることになりましたが、やはりめまいは治りません。本人いわく「いつも震度1程度の揺れが続いている。座っていると左右に揺れる、歩き始めると上下に揺れる。」といった状態です。不安感に襲われ、頻繁に頓服薬を飲みます。別のところで鍼灸治療を3ヶ月ほど続けたが何の変化もなかったとのことでした。
週1回の治療を約半年弱、18回続け、ほぼ治りました。途中に花粉症の治療もして、こちらも治りました。アンケートの回答には「通院当初に比べると、SSRIや安定剤もほぼ飲まなくても生活できるようになりました。もちろん、めまいや不安感、過呼吸もおこっていません。精神科神経科に随分長く通っていましたが先生に治療していただいたおかげで劇的に回復することができました。」とうれしい言葉をいただきました。

パニック障害の治り方

写真は香川(仮名)さんの自筆のコメント
香川(仮名)さんは30代後半の会社員の女性です。PC作業中心の仕事、2ヶ月前に続けてパニック障害の発作をおこしました。1度目は通勤電車の中で気分が悪くなり、自宅へ戻りました。2回目は昼食の後、気分が悪くなり早退。それ以来、昼食が食べられない状態が続くようになりました。頭がふらつき、首もこります。2回ほど治療すると食欲が出て、食事がおいしく感じるようになってきました。週1回の治療を3回ほど続けると、首も楽になり、ふらつきも消えました。首がこってくると調子が悪くなるということなので、週1回ほどの治療を1年ほど続け、会社の移転を契機に卒業していかれました。

アンケートには「よい効果があった。少し苦痛があるがずいぶん楽になった。」
と回答され、「疲れが出るとふらつきが出るくらいです。」とコメントされていました。
「症状が落ち着いていますが、また悪化しそうな時にはすぐに通院しようと考えております。」とも書かれていました。
「悪くなったら結(ゆい)さんに行けばなんとかなる。そう考えると不安がなくなる。」という声はよく聞きます。世の中、まったく不安のない状態というのはそうそうあるものではありません。3.11以降は特にそうでしょう。パニック障害になった患者さんは、正常範囲ともいえる不安と病的不安の区別がつきにくくなっていらっしゃるようです。結(ゆい)さんに行けばなんとかなるという思いが不安解消に役立っているならば治療家としてはうれしい限りです。

パニック障害と腰痛が治りました。

陣内貴子(仮名)さんは40代の女性です。4年間パニック障害に苦しまれた末、当院にいらっしゃいました。最初の内は家人に付き添ってもらえないと来院できない状況でしたが、そのうち1人でも大丈夫になりました。4ヶ月ほどで不安感はなくなりましたが、腰痛と身体の不定愁訴を改善する治療をその後も続け来院から約10ヶ月ほどで職場復帰されました。

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