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結(ゆい)針灸院

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症状と治療のお話し

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不思議な国の不思議なかぜの治し方 

2002年1月10日記

風邪ひいて おなかの調子がおかしい?

朝の通勤電車に乗るとせきの音が聞こえてくる。1月頃は風邪をひく人が増えてくる。 この季節になると 結(ゆい)には 風邪ひいておなかの調子がおかしいという人がちらほら来院される。 風邪のウイルスが胃腸にきて胃炎 腸炎をおこすというパターンはしばしばみられ、こういうのは鍼灸治療一回程度で簡単に治る。

別のパターンもある。 風邪だと思い、医者へ行き、薬をもらって飲み始めてからおなかの調子がおかしくなったという場合だ。たいてい抗生物質を処方されている。胃腸薬もいっしょにもらっているが、これが効かないから当院で「どうも胃が重い」「胃が痛い」「食欲がなくなった」と訴えることになる。

抗生物質は 細菌も身体の有益な雑菌も全部殺してしまう。トマホークミサイルのようにピンポイント攻撃ができるわけではない。B52のような無差別じゅうたん爆撃だ。人間の体は、さまざまな微生物、雑菌の巣のようなもの。全体のバランスで平和な暮らしを営んでいる。これを無差別じゅうたん爆撃されたらたまったものではない。「どうも胃が重い」「胃が痛い」ということになる。

風邪の犯人は?

それでも悪いことをしている細菌が、抗生物質で死ぬというのならまだ話がわかるが、実は、風邪の原因のほとんどは 細菌ではなく もっと小さなウイルスというもの。ライノウイルスとかアデノウイルスとか呼ばれる種類のものだ。これは抗生物質では死なない。ウイルスの増えるのを防ぐこともできない。

風邪に抗生物質はいるのかという特集記事を朝日新聞で読んだことがある。この記事も限りなく「いらない」という結論に近かったが、日本の医療の現状を配慮してか最後はぼかしてあった。

日本人は安心を飲む?

アメリカの健康保険組合は日本でいえば 民間の生命保険会社のようなもの。当然治療費を安くあげようとする。標準的な治療方法も設定されている(日本は学閥によって 病気の治療法が違う)アメリカでは風邪にファーストチョイスで抗生物質を処方することはまずない。

薬剤師の知り合いがいた。彼の現代医学、西洋医学の薬の知識は、当然にも私よりずっと豊富だ。ウイルスに抗生物質が効かないことも知っている。あるとき彼は 風邪をひき 医者に行き薬をもらった。抗生物質も含まれている。彼はどうしたか。なんと彼はきちんと全部の薬を飲んでいたのだ。

身体に必要もない時に抗生物質で無差別じゅうたん爆撃をかけると、当然自然治癒力は落ちる。それでも彼は飲んだ。おそらく彼が飲んだのは「みんなと一緒」という安心感や「医学の権威」といったものなのだろう。まあ不安感も病気を悪くするから それも選択のひとつだ。

私はどうする

ところで 抗生物質をもらって飲み始めてからおなかの調子がおかしくなったという場合も、たいていは鍼灸治療一回程度で簡単に治る。やっかいなのは抗生物質をまた飲むと、「どうも胃が重い」「胃が痛い」「食欲がなくなった」が再発することがままあること。 一介の鍼灸師が医者の出した抗生物質に文句をつけるのは大変だ。下手すると患者さんとお医者様の信頼関係にひびを入れかねない。

抗生物質の副作用よりいきつけの医者との信頼関係にひびが入るほうが、患者さんにデメリットが大きいと思うのだ。結(ゆい)との信頼関係にひびをいれてしまうこともあるかもしれない。だからたいていは何もいわない。副作用を黙々と治療する。そしてインターネットのかたすみに駄文を書く。

抗生物質は悪者ではない

誤解しないでほしい。抗生物質は悪者ではない。必要なときにはどんどん使う必要がある。場合によっては 症状がおさまっても 病気の原因となっている細菌を殺すためには 一定期間 投与し続けなければならないそうだ。実は、徹底的にどんどん使うという点でも日本はあいまいだ。不思議な国だ。

追記

2003年12月8日付け朝日新聞夕刊の一面に <風邪に抗生物質「無効」やっと指針、>という記事が載りました。

一部抜粋すると

「風邪に抗生物質は効くと思いますか?答えは「ノー」だ。ところが、ただの風邪に抗生物質を出している医師は少なくない。こういった乱用が、どんな抗生物質にも抵抗力を持ってしまう耐性菌の出現を招き、深刻な院内感染を引き起こすと指摘されている。しかし、最近まで学会や国も注意を促してこなかった。なぜ放置されてきたのだろう。」

「厚生省は96年、院内感染の問題を受けて抗生物質の診療手引を作成。だが、風邪の項目に「対症療法と二次細菌感染の予防が主体」として、使うべき抗生物質の名前を列挙している。
01年には日本感染症学会などに新たな手引の作成を委託した。が、ここにも抗生物質のリストが残った。手引をまとめた東京慈恵会医科大の柴孝也教授は「細菌性の風邪もあるので、一律に抗生物質を使うなとは書けなかった」と説明する。ようやく、来年5月に出す改訂版に「風邪に抗生物質は無効。細菌性二次感染の予防目的の投与も必要ない」との文章が入る。


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