生物時計とうつ病

生物時計とうつ病

結(ゆい)通信No.106  2006/01/12より

分子生物学の分野で生物時計の研究がすすみ、規則正しく暮らすことが、養生の基本という昔からの知恵が、科学的に実証されているということを以前、書きました。規則正しく暮らすことは不眠症に関係するだけでなく、じつはうつ病の発症にもかかわっています。

脳の神経伝達物質のひとつセロトニンは、うつ病と関係するといわれています。精神を安定させる作用があり、これが不足するとうつ状態や情緒不安定になります。針灸もつぼを使って神経伝達物質の調整をしていると考えられます(人の複雑なうつ症状をセロトニンだけのせいにするのは無理があると考えていますが)

脳の活性化にとって大切なセロトニンは体が浴びる光線量が多いとたくさん分泌されるようになります。とくに朝日を浴びることは大切です。蛋白質の構成成分である必須アミノ酸、トリプトファンから、セロトニンを経て作られる、物質がメラトニンといい、これが眠気を誘います。夕方になるとセロトニンが変化したメラトニンが分泌されるようになり、真夜中はピークに達します。
セロトニンとメラトニンはいわばポジとネガのような関係。脳を安定させ活性化させる物質と眠気を誘う物質がうまくまわっていくことと、朝の光を浴びて起床し、夜になったら寝るという規則正しい生活は結びついているのです。中医学的には陰陽のバランスのとれた状態です。

私が以前、東京で招かれた青山のドイツ人のマンションが、びっくりするほど薄暗い間接照明だったことを思い出します。一般に欧米人の方が間接照明をよく使うと言われています。日本人も昭和30年代までは電球の明かりの下で、ちゃぶ台を囲み、今よりずっと薄暗い夜を過ごしていました。高度経済成長とともに家庭にこうこうと蛍光灯がともり始めました。今や成熟期に達した日本。夜は少々薄暗くして落ち着いた時を過ごし、心地よい眠りを誘うほうがいいかも知れませんね。

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